2021年12月9日、nicoさん(37)は長女を出産した。
もともと子ども好きで、結婚後すぐにでも欲しいと思っていた。
一方で「夫が子どもを育てる気持ちの準備ができるまで待とう」「夫婦2人の時間を楽しみたい」という思いもあった。
結婚から4年ほど経ったころに妊活を開始。
すぐに授かると思っていたが、理想通りにはいかなかった。
「できる努力をすべてして、それでも子どもができなかったら、夫と2人での人生を楽しもう」
そう思って、体外受精による胚(はい)移植を受けると、幸運にも1度目で命を授かった。
自宅で妊娠検査薬を使った時、「陽性」を示す線が浮き出てくるのが見えた。
安堵(あんど)なのか緊張なのか、よくわからないまま涙と震えが止まらなかったことを覚えている。
出産時はコロナ禍のため、立ち会いも面会も一切禁止。
ひたすら痛みに耐える孤独な出産だった。
娘の泣き声を聞いて「ちゃんと生きてる、やっと会えた」という気持ちで泣いた。
思ってたのと全然違う
育児が始まると、「思ってたのと全然違う」の連続だった。
出産のダメージが残ったまま始まる睡眠不足の生活や、母乳トラブル。
ようやくリズムをつかみかけたころにやってくる寝ぐずりや、睡眠退行。
想像していたよりも何倍も、いや、何千倍も大変だった。
当初は抱っこやトントンなどの寝かしつけをしなくても眠ることもあり、「比較的、手のかからない子」と思っていた。
生後3カ月を過ぎたあたりから昼寝をしなくなり、心身の疲れもあって、娘の泣き声を「うるさい」と感じることが増えていった。
心にゆとりがないためか、口調も態度も優しくすることができない時があった。
それを察知したように、娘が激しく泣く。
泣き声というよりは、のどの奥から絞り出す叫び声のように聞こえた。
そんな時、4人の子を育てている姉からこんなアドバイスをもらい、一気に心が軽くなった。
「赤ちゃんはね、『なんか眠…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル